ある取引きについて処理する場合、まず簿記用語に翻訳する作業(仕訳)を行います。この仕訳の段階で重要なことは、左側の金額と右側の金額は必ず同額であるということです。いいかえれば、個々の伝票においては左右の金額は同額になるのです。そして、総勘定元帳への記入はこの仕訳によって作成された伝票を左側と右側へ書き移していくだけですので、結局、試算表上の金額というのは個々の伝票一枚一枚に記入された金額の合計額にすぎません。
従って、「仕訳」と「転記」が正確に行われていれば、試算表の左側と右側の合計金額は必ず一致するのです。もし、一致していない場合は、どこかの段階でミスがあったことになりますので、再点検が必要になります。
次に試算表の記入方法についてもう少し詳しく説明してみましょう。ここで注目していただきたいのは、試算表上ではいくら儲かっているのかがわかりません。当期利益の欄が設けられていないからです。
さて、試算表からいくら儲かっているのか分かるようにし、なおかつ、その計算が正しく行われたかどうかをチェックできるようにするためにはどうすればよいのでしょうか。それは、財産状況を表す「貸借対照表」と収支状況を表す「損益計算書」に試算表を分解し、その両方の利益が一致したときに残高が一致するかどうかをチェックすればよいのです。学問上の簿記では、その試算表を分解するために必要な計算書を「精算表」と呼んでいますが、実務においてはあまり利用されません。
「精算表」は試算表の各分類口座がどのグループに属するものかによって、それぞれの金額を「貸借対照表」と「損益計算書」に分けてスライドさせていくだけのものですので、わざわざ作成しなくても試算表の配列を活用して、支払手形を境に切り離せばそれで済むのです。
ただし、これは簿記の理論からは少し離れたものではありますが、現実的で有用性の高い方法ですのでその点ご了承ください。そして、その切り離した「貸借対照表」と「損益計算書」をそれぞれ集計した上で、左側と右側の金額が一致するように利益(または損失)を書き込みます。両方の利益(または損失)が一致するかどうかをチェックすればでき上がりです。
参考までに、利益の場合は「貸借対照表」では右側に、「損益計算書」では左側になります。損失の場合はその逆で、「貸借対照表」では左側に、「損益計算書」では右側になります。
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