まず、現金を別の伝票に記入する理由は振替伝票に記入するより効率的だからです。入金伝票や出金伝票というのは振替伝票の一種と考えるとわかりやすいと思います。すなわち、入金伝票とは、仕訳する際の原因と結果のうち結果である ' 現金が増える ' についてはすでに記入済みの伝票なのです。
出金伝票とは、その逆で結果の ' 現金が減る ' については記入済みの伝票なのです。従って、振替伝票ならば原因と結果の両方を記入する必要があるのに対して、入金伝票や出金伝票では、結果は記入済みなので、原因のみを記入すればよいのです。
それでは、現金だけではなく取引きの多い預金口座についても同様に、預金出金伝票・預金入金伝票を作成する方が効率的ではないかとお考えになる方もいらっしゃるでしょう。 結論から申しますと、現金での取引きが少なく、預金口座での取引きが多い場合は、現金取引きではなく口座取引き(例えば当座預金)を別伝票に記入してもかまいません。ただし、それらを同時に別伝票(振替伝票以外の伝票)で2種類以上を処理することはお勧めできません。
先ほど申しましたように、結果を省略しますので後でその伝票を見てもそれが現金なのか預金なのか区別ができなくなるからです。逆に言えば、区別できる伝票を使用するのであれば可能になります。ただし、そのような伝票は市販されていませんので、独自に印刷し作成する必要があります。
それともう一つ重要な点は、預金口座は必ずしも一つとは限らないということです。複数の口座を同じ入出金伝票で処理してしまうと、後でどの口座のものなのかが分からなくなってしまいます。従って、預金口座での取引きを入出金伝票で処理する場合は、最も取引き数の多い口座を入出金伝票で処理し、その他の口座は振替伝票で処理する方がよいでしょう。
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