診療に対して受動的な立場であった患者は、現在では多くの情報を得ることができるようになっており、医療提供側も患者が自分自身で病気や障害に関する知識・情報を学習できる場を提供することが求められているといえます。 また、生活習慣病をはじめとした疾病予防・健康増進を図るため、患者自身の自己管理のための学習支援の環境整備は、これからの病院にとって重要な課題となってきます。
例えば、小児対象のアレルギー専門外来に特化した病院では、院内でアレルギー児のための食品を販売するほか、個別に食事指導を実施しています。アレルギー症状を回避するため食品を制限することにより、アレルギーの子供を持つ親の献立の負担は大きいものですが、こうした個別の食事指導のほかに、年に数回の無料アレルギー講習会開催など、離乳食時期の子供を持つ家庭を対象に料理教室を催す等の取り組みがあります。
また、一般的な健康情報から専門的医学知識までを提供する図書室を院内に設置する病院も増えています。誰がどの本を読んだかという図書情報に関するプライバシーの確保により、患者が安心の上で利用できるシステムの構築も求められます。入院から退院までの過程を知り、これに沿って適切な時期に必要な情報を、患者自身が学習し、また医療機関が提供することが考えられています。
一方で、医師と患者が共に図書館を訪れて専門書を読むことにより、医師の説明を医学書によって確認することができるため、患者の不安を取り除く効果があるほか、医師・患者間の信頼関係の構築にも役立つ効果も期待できます。 |