医療に対する安全、また医療機関におけるリスクマネジメントは、いまや当然に求められる時代であるといえますが、これに対するコストの意識はまだ低いのです。
医療機関において、高度な先端医療を行うために必要な人材、機材・機器、薬剤等に支出するコストは、次第に医療の現場において認識されてきています。昨今の医療におけるリスクマネジメントは、「医療の質」確保を図ることに主眼が置かれ、個人努力に依存した事故防止ではなく、組織的な自己予防を目指しています。
医療におけるリスクのうち、最も大きな影響が生じるのは医療事故をめぐる事項です。厚生労働省においても医療事故防止対策の検討がなされ、各医療機関に対する指導として、 @ 診療録(カルテ、看護日誌等)の不備、 A 医療知識・スキルの未熟性や独善性による誤診と知識・経験不足、思い込みによるエラー、 B 薬剤の過誤使用、 C チーム医療の未熟性、 D 意思の疎通性、 E 施設の診療能力の不足、等に分類されるといわれています。
これらの改善や排除のためには、組織としての取り組みが求められるため、医療における「安全のコスト」を十分に認識し、かつ医療事故によってもたらされてしまう被害のコストを最小にするシステムの構築が必要です。
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