少子高齢化が進み、疾病構造が変化した現代では、医学における高度先端技術の進展に伴い、生命の危機を脱しても機能障害を抱える、長期療養患者が増加しています。
第四次医療法改正における病床区分によって、このような医療処置が必要な慢性期入院患者の行く場の選択肢が狭まる結果となっています。
急性期が多い一般病床では、在院日数が90日を超えると入院基本料が大幅に減額となるため、治療行為が終わると積極的に退院もしくは転院させようとする一方、受け皿となる療養病床および介護保険施設、老人保健施設などは需要に対応できているとはいえない状況であり、今後もこうした事態は続くものと考えられます。
単に慢性期患者を長期間入院させておくためだけの療養病床ではなく、回復期リハ病棟や緩和ケア病棟のように、明確な機能を有する病床の存在価値とニーズが大きくなっているといえるでしょう。
患者一人ひとりに会った医療サービスの提供のためには、第四次医療法改正による病床区分に加えて、患者の特性を踏まえたさらなる病床区分が求められます。それとともに、医師をはじめとした医療従事者の質を確保することも重要です。 |