一般に高齢者が多いとされる長期療養入院患者を対象とする施設には、医療法上の区分による「療養病床」のほか、介護保険法に基づく「介護老人保健施設(=老健)」、そして老人福祉法に根拠を置く「介護老人福祉施設(=いわゆる特養、旧特別養護老人ホーム)」が代表的です。
医療機関である「療養病床」はその性格が明確であるほか、「老健」と「特養」は施設内容も含めて利用者側にはその区別がつきにくいものですが、診療体系も対象とする利用者層についても大きく異なっています。
「特養」は、終身的な介護を目的とした福祉施設です。平成 12 年の介護保険制度施行によって自由契約制となる以前は、入所対象者および入所施設は地方自治体が決定する措置制を採用していましたが、入所者の約 3 割が後期高齢者となっており、病院から特養へ直接入所する利用者が増加し、社会的入院の解消の受け皿として、重症化という課題を抱えています。
一方、「老健」は、医療機関での治療を終了した後、家庭に帰すまでの中間を担う施設です。要介護認定を受ける必要がありますが、「療養病床」と比較して病状、ケアの必要性共に軽度の利用者を対象としています。同様に自由契約制であるので、利用者側が入所する施設を選択することになります。 |