1985年(昭和60年)、医療法は、制定後約40年を経て初めて大きな改正がなさました。
この第一次医療法改正は、各都道府県が医療施設相互の機能連携を促進し、体系的整備を行うことを目的としていました。主要な内容としては、都道府県ごとの地域保険医療計画の策定・実施により、地域医療のシステム化推進をはかること、また医療法人の運営適正化のため、「一人医療法人制度」を導入し、医療に対する国民の信頼確保を目指したものです
。 「地域保険医療計画」の策定では、従来からの公的病床の規制を私的病院にも適用することとし、必要病床数以上には増床が認められないようになりました。これにより、明治時代から保障されてきた「自由開業医制」が制限されることとなり、同時に医療施設の量的整備から質的整備への転換を目指したものといえます。
また、これにより大きな問題を生じたのは、地域保険医療計画の制度化に伴う「駆け込み増床」です。病床数の増加は、設備投資ブームを巻き起こしただけでなく、看護婦需要を喚起し、この結果急激な増床に応じた看護スタッフの確保が叶わず、継続的な看護婦不足を招くこととなりました。
第一次医療法改正は、無秩序な増床に歯止めをかけ、医療提供体制を見直すために実施されたといえます。
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