日常診療でもっとも留意すべきことは、「善良な管理者の注意をもって委任事務を処理すること」(善管注意義務)すなわち、適切な医療を行うことです。何を持って「適正」とするかについては、一定水準以上の診療・治療をこなすことのほか、事故発生を事前に想定して十分に予防・対処する「結果予見の義務」、たとえ事故が発生したとしても悪い事態を回避するための手段を講じる「結果回避の義務」があり、これらを全うしなければなりません。
医事紛争で問題とされるのは、かかる診療行為が「一定医療水準」を満たしていたかという点です。臨床医は少なくとも自分の専門分野については現代医療レベルで当然行われるべき知識、技術で診療にあたったかが、要求されます。
よく似た言葉で「医学水準」があり、これは医療の現段階における学問研究の水準、すなわち国内外を問わず学会の水準が問題となります。 |