医療ないし診療行為は、すべてが患者の期待どおりの結果になるとは限りません。患者の期待に反し悪い結果が発生した場合を総称して「医療事故」が発生した、と言います。そのなかで、医療機関側における何らかの過失が原因となっている場合には「医療過誤」といいます。また、医療過誤あるいは何らかの理由により、医療機関と患者との間で対立が生じた場合を「医事紛争」といい、その結果患者が訴訟提起した場合には「医療訴訟」となります。全ての医療事故が医療訴訟にまで発展するとは限りませんが、医療関係者は、自分の身にも起こりうる、という意識は持つ必要があると思われます。
こうした医療事故、医療過誤に関しては、医療機関側の過失が明らかな場合を除いては患者や法曹界でも解釈に大きな差がみられるのが現状です。最終的には解決に至ったとしても、一度こうした事故、紛争が報道されると、地域からの信頼あるいは医師やコ・メディカルの労働意欲を喪失させることになりかねません。
医療機関側にとってはささいなミスであっても、患者側には重大な損害ととらえられることもあります。リスクマネジメントの重要性はまさしくここにあるといってよいでしょう。 |