看護事故の多くは単純・初歩的な過失によるもので、そのほとんどが看護の基本行為が正確に出来ていない場合に事故に至っています。
看護事故防止には、看護職者一人ひとりの質の向上を図るとともに、看護部門として系統だった取組みが不可欠です。
(ア)患者誤認の防止
〇他部門への患者引き継ぎ時の注意事項
・ 患者の氏名の確認を複数で行います。
・ 患者誤認の防止の目的で、意識のある患者には自分で氏名を言ってもらいます。
・ 患者搬送時は、一人の看護婦が、一人の患者を最初から最後まで責任を持って対応します。
・ 受け入れ側と送る側の両方で声を出して、患者名等必要事項を確認します。
〇患者情報の引き継ぎ時の注意事項
・ 患者の氏名の確認を行った後、記録された情報を正しく引き継ぎ、受け入れ側は復唱し確認を行います。
・ 情報内容によっては(例えば血液型など)患者への質問を通して確認をします。
(イ)誤薬防止
〇準備時の注意事項
・ 指示された内容を診療録で確認します。(原則的に口頭指示は受けないようにします。)
・ 声に出して複数回確認します。(最低2回は確認)
・ 声を出して複数人で確認します。(ダブルチェック)
・ 一人につきひとつのトレイに準備します。
・ 準備した医薬品・患者名が分かるようにしておきます。
・ 最初から最後まで一人が責任を持って準備にあたります。
〇与薬時の注意事項
・ 準備した人が与薬まで責任を持って行います。
・ 患者の確認を行います。
・ 複数回の確認をします。
・ 終了するまで、薬袋・空アンプル等は捨てないようにします。
・ 患者参加が可能な場合は、説明を行います。
(ウ)転倒・転落防止
〇入院前の患者の状態についての情報収集
・ 患者の行動レベル(ADL・安静期間等)を把握します。
・ コミュニケーションレベル(意思の疎通・理解力)を把握します。
〇環境の調整
・ 患者の状態に応じた療養環境を提供します。
(観察しやすい病室、トイレとの距離、ベッドの高さの調整、ベッド柵の選択、離床センサー等)
・安全な環境調整
(滑り易い床、夜間の照明、突起・段差等の障害物への配慮、ベッド柵の確認)
〇患者個々人への配慮
・ 長期間の臥床により姿勢保持能力が低下(筋力低下)することを患者に認識してもらいます。
・ バランスを失いやすい行動(体の向きを変える時、動作の変わり目)に対して配慮します。
・ 患者によっては、予測されない行動に移る場合がある事を認識しておきます。 〇その他
・ 患者の履き物に配慮します。
・ 家族へ適切な説明をし、協力を依頼します。
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