患者クレームは後の医事紛争にも発展しうる重大な事項です。クレームを最小限に食い止めるためにも、次のポイントを押さえておきたいものです。
1. 初期の対応の重要性
医療事故が発生した場合、あるいは明らかに患者に不利益を与えたことが発覚した場合は、責任のある職位のもの(事務長クラスが最適)が直ちに患者または関係者と面会し率直に不手際を詫びることが重要です。この際に言い訳をしたり対応が遅かったりすると、相手の態度を一層硬化させることになります。発生直後は患者の態度も当然 厳しくなりますが、誠意をもって接することでクレームを最小限に抑えることが可能です。次回来院時、あるいは患者を呼びつけての対応は決してすべきではありません。
2. 複数のクレーム担当者の育成とマニュアルの整備
国民の医療に対する意識が変化し、クレームの種類も多様化しています。医療事故も含めリスクマネジメントに関してはリスクマネジメント委員会の設置などを通じて組織的に取り組むべきですが、対応については常時迅速な対 応が必要なことから、法律に明るく訓練された担当者を複数育成しておく必要があります。担当者の選定に当たっては個人能力もさることながら、責任ある職位がポイントとなります。
3. 地域におけるクレーム対策の仕組みづくり
クレームの性格によっては警察に相談しなければならないケースもあります。また、場合によっては地域の有力者の協力を求めるケースもありますので、日ごろから良好な関係作りを心がけることが大切です。
いずれにしても、クレーム対応のあり方は、医療機関のイメージを左右することから、上手なクレーム対策の仕組みづくりが必要です。
参考文献:「病院をかえる 150 のヒント」下間幸雄監修(じほう)
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