深夜から日勤への勤務引継ぎが終了した直後に、看護婦Aは受け持ち患者(山田様)の IVH (総合輸液製剤 N )を追加するために病室に行った。しかし、既に IVH は追加されていた。 A は、他の看護婦が追加してくれたと思いバッグに書かれている氏名を確認せずに他の業務をしていたが、 30 分後に山田様から「違う人の点滴が下がっている」とナースコールがあった。山田様のバッグの氏名を確認すると〔山本様〕と書かれており、そのバッグは〔総合輸液製剤 L 〕であった。日勤帯で交換する最初の点滴は深夜勤務者が準備し、日勤の実施者が再確認することになっていた。しかし、引継ぎ直前に山田様の IVH が終了したために、深夜勤務の看護婦Bが〔山本様〕と書かれた IVH を誤って追加したことが分かった。山本様への IVH 追加はまだされていなかった。看護婦BからAへの実施報告はなく実施サインも忘れられていた。
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MAN (人間)
<例>
身体的状況、心理的・精神的状況、技量、知識 |
MACHINE (物、機械)
<例>
強度、機能、配置、品質 |
<MEDIA (環境)
<例>
気象、地形、施設、設備、マニュアル、チェックリスト |
MANAGEMEN (管理)
<例>
組織、管理規定、運行計画、教育・訓練方法 |
具体的要因 ( 4M ) |
患者と IVH のバッグの氏名確認が不十分であった。(看護婦A、Bともに) |
2 つの薬品の商品名とパッケージが類似していた。
バッグへの患者名表示がフルネームではなかった。 |
IVH が早めに終了したため、Aが実施すべきものをBが実施した。
勤務交代前後であった。 |
看護婦Bが実施したことをAに報告していなかった。 |
EDUCATION (教育・訓練)
<例>
知識、実技、人格、管理 |
氏名確認の具体的方法を再教育する。(ネームプレートやネームバンドで本人であることを確認する) |
薬品の準備の際、3回確認することを職員教育の中身に盛り込む。
フルネームで表示することを職員に周知させる。 |
勤務交代時の業務のあり方について再検討し職員に伝える( IVH 追加時間の調整など)。 |
受け持ち以外の人が業務を行った場合の連絡・報告・記録の方法を再確認し職員に伝える。 |
ENGINEERING (技術・工学)
<例>
自動化、表示・警報、多重化、品質改善 |
患者の了解を得て、入院時にネームバンドを装着する。 |
類似した商品名やパッケージについて、誤認しないための工夫を製造元に依頼する。 |
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ENFORCEMENT (強化・徹底)
<例>
規定化、手順の設定、注意喚起、キャンペーン |
報告書を提出してもらい注意を促す。
氏名確認の方法(ネームプレート、ネームバンド)について、マニュアルに盛り込む。 |
類似した薬品をリストアップし、誤認注意の表示を保管場所に貼る。
薬品準備の際の確認方法、氏名表示方法をマニュアルに盛り込む。 |
勤務交代時の業務のあり方について再検討する。( IVH 追加時間の調整など) |
受け持ち以外の人が業務を行った場合の連絡・報告・記録の方法をマニュアルに盛り込む。 |
EXAMPLE (模範・事例)
<例>
模範を示す、事例紹介 |
改訂したマニュアルを配布し、行動変容を促す。 |
改訂したマニュアルを配布し、行動変容を促す。 |
勤務交替時や受け持ち以外の人が業務を行う場合に、ミスを起こしやすい事例として紹介し、再発防止を呼びかける。 |
改訂したマニュアルを配布し行動変容を促す。 |