事故発生後に書かなければならない記録として、「経過記録」と「事故報告書」があります。 まず経過記録に事故をどのように記載すべきでしょうか。 2 つのポイントがあります。
それらは、 @ 経過記録には事故に関する事実を経時的に記述すること、 A 経過記録には事故後に患者に実施された治療とその後のケア、および患者の反応について記述することです。前者が行われていないと、事故のもみ消しが行われたかのように思われても仕方ありません。後者の情報は、事故後に患者の状態をしっかりと観察し対応したことを示すことになります。
次に事故報告書に記載します。事故報告書を書く時はそれを読む人々を念頭において次のようなガイドラインを参考にするとよいでしょう。
@ 客観的に書く
事故の詳細については,客観的な言葉を使い,自分が見たことと聞いたことを正確に記述する。例えば,もし患者が転倒するところを実際に目撃したのでなければ「患者が床に横たわっているのを見つけた」というように書く。次いで,その場面で自分が実際に行った行動のみを,例えば患者を助け起こしてベッドに戻したとか,外傷の有無を調べたというように記述する。
A 必要な情報だけを書く
事故の起こった正確な時間と場所,および報告した医師の氏名を記録する。
B 自分の意見は書かない
ナースは自分の意見を事故報告書に書いてはならない。どうすれば事故は避けられたかという点に関する提案や意見は,むしろ婦長や危険管理部門の責任者に口頭で伝える。
C 非難は書かない
同僚や管理者に対し,責任をあげつらったり,非難したりしない。「もう少しスタッフが優秀であったなら,この事故は防げただろう」というような記述は避けなければならない。起こったことだけを記述する。
D 噂や憶測を避ける
事故について知っているスタッフがそれぞれ事故報告書を書くべきである。自分の受け持ち患者が他部門で負傷した場合は,その部門のスタッフが事故の詳細な記録を書く責任がある。
E 記録の適切な保管
事故報告書は診療記録と一緒に保管してはならない。報告書は,病院の方針に従ってその内容を点検する立場にある人のところに届ける。 |