いずれにしても好ましくない事象ですから、その場で発生している事柄への対応、再発防止策の策定と実行が必要です。
「アクシデント」については既に患者に健康被害が発生しているわけですから、発生を把握した段階で応急処置をとるとともに、担当医へ連絡し指示を仰ぐことが必要です。また、この段階で患者応対を誤ると、後に医療訴訟へ発展する恐れがあります。可能な限り迅速な対応と、患者および家族への十分な配慮が不可欠となります。
「インシデント」「エラー」については、事故には至らないものの、事故につながりうる事象として対応が必要です。患者がインシデント、エラーに気づいた場合には、健康被害がなくとも不信感を持つことは間違いありません。誠意を尽くした迅速な対応が必要なのは「アクシデント」のケースと同じです。
限られた医療資源のなかで再発防止策を立案するには、発生する(する可能性のある)頻度と重要度によって、かけるべき時間、コスト、手間を考慮しなければなりません。留意すべきは、発生の原因を「誰か」ではなく「何か」に求めることです。特定の個人が多くのミスを起こすのであれば、教育の仕組みを見直す必要があるでしょうし、その個人の業務の前後ではチェックの段階を増やす、というのも仕組みの一つです。目的はあくまでも「患者の安全」にあることを認識して、再発防止策をたてるべきでしょう。
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