看護業務において実際に発生した医療過誤事例をご紹介します。このようなケースが発生しないよう配慮するとともに、早期発見、早期対応の仕組みの構築が不可欠です。
<配膳の誤りによる事故事例>
・同姓の患者が二人いたため、糖尿食と一般食を再三にわたって間違えた
・腎炎の患者で特別食にも関わらず普通食を配膳、患者も食べてしまった。普通なら患者自身も気づくが、高齢で難聴だったため指導も徹底されていなかった。
・ 58 歳で嚥下障害のある患者に餅が配られた。看護婦詰め所に他の患者から連絡があり医師、看護師が駆けつけたが餅がのどにつかえて窒息した。
<授乳中の乳児の窒息事例>
・未熟児に栄養チューブを挿入したままミルクを注入した。窒息状態となりチアノーゼを引き起こす。
・病院内での付き添いの母親が睡眠中、乳房で乳児を圧死させた。
<食事中の症状急変の事例>
・食事中に、虚血性心臓発作を起こし病状急変で死亡。この患者は心不全であり予後不良のため個室に入っていたが付き添いがいなかった。看護婦詰め所には看護婦が一人いたが、この患者の食事の面倒はみていなかった。
・心不全の患者でネギが大嫌いだったのに間違って食べたことに気づき、吐き出そうとして無理に嘔吐したところ無理に咳き込み死亡した。
<吐物による窒息の事例>
・患者は大量喀血のためブザーで通報したが一人夜勤の看護婦は病室巡回中で受報できず巡回したときは死亡
・意識障害のある患者が吐物で窒息した。当時看護婦は申し送り中で十分に観察していなかった。
・小切開手術の予定患者の食事摂取制限について、口頭指示のみのため徹底せず、術前に食事を与えた。そのため静脈麻酔したとき嘔吐し吐物で窒息死。
このほか、用便中の症状急変やベッドなどからの転落、保温器具等によるやけどなどが報告されています。
参考文献:「医療事故のリスクマネジメント 100 」浅井賢著(日本医療企画) |