国立大学医学部付属病院長会議の「医療事故防止策の策定に関する部会」から 2001 年 3 月に発表された「優れた診療記録の作成」より、診療録作成上の基本原則をご紹介いたします。
1. やるべき 5 原則 −「記載してあること」が大前提
(1) 客観的で臨床に関連した事項であること
(2) 正確であること
(3) 読める字で書いてあること
(4) タイムリーに記載されていること
(5) 完成されたものであること
2. やってはいけない 3 原則
(1) 改ざん、または改ざんとみなされるような行為
(2) 他の医療従事者の非難
(3) 患者さんや家族について偏見に満ちた表現や感情的表現での記録
3. 医療事故に関する記録に関する注意事項
(1) 医療事故に関する事実を必ず記載すること
(2) 患者さんや家族への説明や、やり取りを必ず記載すること
(3) 正確で誤解のない表現を用い、根拠のない断定的な表現はしないこと
(4) タイムリーに記載すること
(5) 患者さんの診療に直接関係のない病院業務に関わることは記載しないこと
(6) 反省文、他者の批判等は書かないこと
4. 署名と日付
(1) 記載した全ての記録には記載者の責任を明確にするために署名と日付が必要。
(2) 署名は本人が特定できる書き方であること
(3) 臨床研修医のサインの場合は、指導医のカウンターサインをいれること
5. 訂正方法
(1) 改ざんとみなされるような不適切な訂正、消去、追加はしない
(2) 大きく訂正する場合は訂正前の字句が読めるように一本線で消し、そこに訂正内容、訂正日、時間、訂正者のサインを入れる
(3) 臨床研修医の診療録を指導医が訂正する場合や、診療録の監査で訂正する場合は、その旨も記載すること
6. 略語や外国語の使用
(1) 診療録はすべての医療従事者(医師、看護師、薬剤師、管理栄養士等)が容易に理解できるように書くこと
(2) 可能な限り日本語で記載し、略語は最小限にするように勤めること
7. その他の注意事項
(1) 患者のコンプライアンス不良、治療拒否、診察や検査のキャンセルなど、診療に影響を与えるような患者さん側の要因も記載する
(2) 患者さんへの検査や受診を促すために作成した文書や電話連絡も記載する |