リスクマネジメントとは、そもそも 1920 年代に欧米の産業界で用いられた経営管理手法です。組織に起こりうる損害を未然に防ぐこと、発生した損害を最小限に抑えることを目的に取り組まれた活動であり、利用業界においては 1970 年代にアメリカで導入が始まりました。日本では平成 10 年に日本医師会によりまとめられた「医療におけるリスクマネジメントについて」によりその考え方が紹介され、今日では医療の質を左右する重要な経営課題として取り上げられています。
杏林大学の川村治子教授によれば、「リスクマネジメントは個人の努力に依存した事故防止ではなく、組織的な自己予防を目指しており、その活動はリスクの把握、分析、評価、対応、再評価の4つのプロセスからなり、事項、ニアミスなどの報告制度によってえた情報からリスクを評価し、人間のエラーを誘発する医療システムや組織上の問題点を分析し、労力対効果の良い事故防止、被害軽減対策を選択、実施。その効果を定期的に再評価する、という一連の活動である」としています。つまり、リスクの要因を個人に求めず仕組みに求めることが、考え方の前提にある、ということです。
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