単に「業績悪化」という理由だけで全職員を解雇することはできません。ましてや、いったん解雇した後に再雇用するというのは、労働条件を引き下げることだけを目的としたものと考えられ、合理的な理由があるとは認められませんので、不当な解雇として無効です。
解雇とは、使用者の一方的な意思表示によって労働契約を終了させることをいいますが、これは使用者の恣意によって行うことは許されず、一般に、合理的な理由のない解雇は、解雇権の濫用として無効とされます。実際、企業の多くは、経営危機に陥ったからといって、ただちに解雇という方法をとらず、希望退職や退職勧奨などの雇用調整策を講じた後に、最後の手段として解雇が行われています。
まして、全員解雇後に安い給料で再雇用するというのでは、解雇が目的ではなく、賃金切り下げだけが目的とみなされますので、何ら合理性を見ることもできず、典型的な不当解雇のパターンといわざるを得ません。
したがって、ご質問のように業績悪化が激しい場合には、雇用調整策を最大限に講じたのち、どうしても必要な場合には、労働組合(労働組合がないときは、職員全員)とよく話し合って打開策を見つけていくほかないでしょう。その際、結果として人員縮小と賃金引き下げの両方の方策が受け入れられたときに、ご質問のようになることもありえるわけです。 |