病気の発作があったことだけを理由に解雇するのは、解雇理由としては合理性に欠けると思われますが、それによって業務に支障があるときは、告知義務違反または業務に耐えられないことを理由として、解雇することが可能です。
ご質問のケースでは、まず、ご本人が応募の際にこの事実を隠していたことが問題となります。裁判例では、雇入れの際の経歴詐称について、信義則(「信義に従って誠実に行動する」という原則)を根拠に懲戒解雇を認めたものがあります。しかし、どのような経歴について、どの程度の詐称が解雇理由となるかは、ケースに応じて判断しなければなりません。裁判例では、「その詐称がなかったならば、雇入れられないであろうほどの内容程度のものをいう」という判断基準を示しています。
病気については、雇入れの際の一つの判断材料となりうるものですから、一般的には、その詐称がなかったならば採用しなかったような重大な病気の告知をしなかった場合には、そのことを理由に解雇することは可能と思われます。 次に、本人の病気の状態が「業務にたえられない程度の病状」なのかどうかが問題となります。業務を行うことができるような病状であれば、解雇理由としては合理性に欠きますので、配置転換することを含めて、ご本人とよく話し合ってみることをお勧めします。
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