労働基準法では、減給の制裁をする場合には、「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の 10 分の1を超えてはならない」と定めています。
具体的には、1回の制裁案件について減給の制裁を行う場合には、当該者の平均賃金の1日分の半額を超えてはならないということを意味しています。例えば、平均賃金の算定の基礎となる3カ月間の賃金の合計額が 60 万円で、その間の全労働日が 60 日だとすると、1日の平均賃金は1万円となりますから、1回の制裁事案について減給することのできる上限はその半分の 5,000 円ということになります。
また、数事案の制裁を受ける場合に、減給額の合計額が「一賃金支払期における賃金の総額の 10 分の1」以上になっても、 10 分の1までしか減給できないことを意味します。これを先ほどの例で具体的に見ますと、減給の対象となる一賃金支払期の賃金が 20 万円の場合には、その 10 分の1、すなわち、2万円までしか減給することができないということを意味します。したがって、当該期間中に5事案以上の制裁がなされたときにも、2万円までしか減給できないことになります。ただし、前段の減給額 5,000 円を翌月以降に繰り越すことはできます。
また、賞与で減給の制裁をすることとしている場合には先ほどの例のように5事案となる場合に、賞与が 25 万円支給されれば、その 10 分の 1 である 25,000 円まで減給することができます。ただし、就業規則等で減給の制裁をすることができる旨を定めておく必要はありますので、注意してください。 |