ご質問のような場合は、職員の能力の欠如に対して、事業主がどの程度まで指導したかが重要なポイントになります。解雇を通告した場合、トラブルになる可能性がありますので、以下のポイントをチェックしてください。
○ 解雇によるトラブルを回避するポイント
(1)業務や患者対応での問題行動に対して、事業主はしっかりと指導をする。普通の人は何度も注意されるのは嫌なので真剣に改善しようとするが、嫌になって自主退職する場合もある。
(2)行った指導について事業主自らが記録を残しておくこと。いつ、何に対してどのような指導をし、相手がどのような対応だったかをなるべく細かく記録しておく必要がある。これは万が一争いになったときには証拠となる。また、ケースに応じて始末書を提出させるなど、過去の問題行動については、内容を管理しておくことが必要である。
(3)解雇やそれに似た言動は慎むこと。事業主の立場から見ると、自分の意に沿わない職員は何らかの形で辞めてもらいたいと思うものだが、事業主からは決して「辞めろ」とか「明日から来なくていい」などといった解雇をにおわすことは言わないというのが鉄則。
(4)どうしてもやめてもらいたい場合は、退職勧奨で辞めてもらう。退職勧奨(肩たたき)という形で、辞めてもらいたい理由を説明し退職を勧め、それに同意をすれば退職させるという形をとる。職員の同意なしに強制的に退職させる解雇とは違い、同意を得た上で職員に退職日を決めさせるため、不当解雇という問題は発生しない。
(5)入社時に、試用期間中に最低限これができなければ辞めてもらうという条件を設定し、契約書にサインをさせる。これにより、条件をクリアできない職員については、試用期間をもって雇用契約満了とすることができる。ただし、この場合には明確な基準の設定が必要となる。
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