就業規則等で定年制が規定されており、それが慣行となっていれば、定年を延長する必要はありません。
労働基準法では、業務上の災害による傷病の期間中とその後30日間は、解雇することを禁止しています。しかし、ここで制限しているのは、あくまでも解雇のことですので、労働契約上(就業規則上)の雇用契約期間満了による定年退職の場合は、ここでいう解雇制限には該当しません。
しかし、就業規則等に「職員が満60歳に達したときは定年により退職する。ただし、本人が希望し、病院がそれを認めた場合には、継続して雇用することができる」等の定めがあり、実際に病院の都合や労働者の希望がある場合に勤務延長したり、嘱託等として再雇用する慣行がある場合には事情が異なります。このような場合には、定年の延長あるいは再雇用等の可能性に労働者も期待を持つことになるからです。このような規定がある場合には、労働基準法上の解雇制限の問題が生じ、業務上の傷病による休業期間中及びその後の30日間は解雇することができません。したがって、当該傷病による休業期間が終了し、その後30日を経過するまでの期間、退職日(定年)を延長することが必要となります。 |