労働基準法第15条は、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定めています。そして、その主な内容として、
(1) 労働契約の期間
(2) 就業場所、従事すべき業務
(3) 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換
(4) 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切及び支払の時期、昇給
(5) 退職に関する事項などとしています(労働基準法施行規則第5条参照)。
この他にも、退職手当、最低賃金額、休職に関する事項など(就業規則の相対的必要記載事項)の定めがある場合には、その内容を明示しなければなりません。 明示方法としては、 (1) から (5) までの事項(ただし、 (4) の「昇給」に関する事項を除く)に関しては、書面で行わなければなりませんが、このうち、 (1) と (2) については、通常、就業規則やそれに準ずるものを定められていますので、この部分については就業規則等を交付することでも差し支えありません。
ところで、労働基準法第41条では、労働時間、休憩及び休日に関する規定は、監督若しくは管理の地位にある者(以下「管理監督者」という)については適用を除外していますが、ご質問のように、これらの事項について管理監督者に明示する必要があるかどうかが問題となります。この点について結論を申し上げれば、管理監督者にも、必要な事項をすべて明示する必要があります。なぜなら、管理監督者として雇い入れた者が、将来管理監督者でなくなる可能性もありますし、また、日常の業務活動の場面でも、労働時間等について知っていなければ、部下を就業規則の定めによって管理又は監督することができないからです。 なお、管理監督者については、こうした労働時間等の適用を除外する旨を労働契約締結時によく説明しておく必要があります。
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