通常、雇用契約では、雇用開始日を明らかにして締結します。しかし、実際には、ご質問のように、何らかの理由で雇用契約書に示した雇用開始日と実際の勤務開始日が異なることがあります。しかし、雇用契約書で取り決めた雇用開始日と実際に勤務を開始する日が異なると、様々な不都合が生じます。
雇用保険や厚生年金保険は、取得日によっては給付を受けるために必要な期間が不足することもありますし、退職金や年次有給休暇など、入社日を起算日として継続勤務期間を計算する場合にも不都合が生じることがあります。 したがって、このような問題を統一的に処理するためには、雇用契約書で取り決めた雇用開始日と実際の勤務開始日を一致させておかなければなりません。この場合、どちらに合わせるかは任意ですが、次の点に留意しなければなりません。
(1) 実際に勤務を開始した日が雇用契約書の雇用開始日より遅れた場合
<雇用契約書の雇用開始日を入社日とする場合>
この場合の留意点として、契約書に明示された日よりも遅れた日数分の給与を、無給とするのか有給とするのかを定めておく必要があります。
<実際の勤務開始日を入社日とする場合>
この場合には、雇用契約書の雇用開始日を実際の勤務開始日に合わせて訂正し、その日を雇用開始日とし
ます。
(2) 実際に出勤した日が雇用契約書に明示された日より早まった場合
<雇用契約書の雇用開始日を入社日とする場合>
この場合には、雇用契約書の雇用開始日以前の実際に勤務した期間については、アルバイト扱いとし、労働者名簿の「雇入年月日」の欄には、雇用開始の日を記入します。
<実際の勤務開始日を入社日とする場合>
この場合には、雇用契約書の入社日を実際の勤務開始日に訂正し、入社日にします。 |