外国人を採用する場合にも、日本人と同様に必ず雇用契約を交わさなければなりませんが、雇用契約書に盛り込む外国人職員に特有な事項には、主に以下のようなものがあります。
(1) 雇用契約は、本人が就労できる在留資格の範囲内で有効であること。これは仮に終身雇用契約を結んだとしても、在留資格が切れれば、雇用を継続することはできないからです。
(2) 雇用契約の期間については、在留資格の制限がない限り、終身雇用とすることができます。その場合、日本人職員と同じ雇用形態にする場合は、日本人労働者と同じ就業規則や労働協約の適用を受けることになりますので、事前にその内容について十分に説明し、本人の理解と納得を得ておくことが必要です。労働基準法は、労働条件について、国籍による差別的扱いを禁止していますので、外国人という理由で日本人と異なる労働条件を設けることは、法違反になります。ただし、職種や雇用形態別に就業規則を作成するなど、国籍を問わず、異なる労働条件を定めることは差しつかえありません。 契約期間については、語学力や文化の違いもあり、日本企業で働くことについての本人の適性を見極めたいということから、当初は契約職員として採用する企業が多いようですが、その場合にも契約書を作成し、契約更改手続きについても、かならず明記しておくようにします。
(3) 配転や転勤により、職務内容や勤務地が変更されるかもしれない場合は、それを雇用契約書に明示しておく必要があります。外国人は、日本人にくらべて契約意識が強いため、あとでトラブルが起きやすいからです。また指揮命令系統、報告の方法などについても明示しておきます。
(4) 就業時間、残業、休日出勤、休暇などの扱いについては、事前にはっきりさせておいてください。一時帰国休暇やクリスマス休暇を設けるかどうか、一時帰国を認める場合には、その費用負担などについても明記し、誤解のないようにしておきます。 |