一般に、就業規則では入社時に提出させる書類として、身元保証書や年金手帳などが規定されていますが、住民票もその一つとして規定されていることが少なくありません。入社時に住民票の提出を求めるのは、入社者の社会保険や労働保険への加入手続きや労働者名簿の作成などいくつかの手続きをする際に、公的機関が発行する書類で氏名や生年月日などを確認するためです。
ところで、事業所が 18 歳未満の者を雇い入れる際に備え付けなければならない書類の取扱いについて、行政解釈では、戸籍謄(抄)本及び住民票の写しについては、「画一的に提出又は提示を求めないようにし、それが必要となった時点(例えば、冠婚葬祭時に際して慶弔金等が支給されるような場合で、その事実の確認を要するとき等)で、その具体的必要性に応じ、本人に対し、その使用目的を十分に説明の上提示を求め、確認後速やかに本人に返却する」こととしており、「これらに代えて、住民基本台帳法第 7 条第1号(氏名)及び第2号(出生の年月日)の事項についての証明がなされている『住民票記載事項の証明書』を備えれば足りる」と、住民票の提出から「住民票記載事項の証明書」の提出に切り換えることを求めています。
ご質問では、就業規則で入社者に住民票を提出する旨定めているとのことですが、採用時に住民票の提出を求めること自体は法律的に問題はありません。ただし、前述の行政解釈によりますと、今後「住民票記載事項の証明書」の提出に切り換えるよう行政指導が行われていることが分かります。したがって、貴院の就業規則の入社時の提出書類に関する定めについても、住民票から「住民票記載事項の証明書」に改訂し、今後の入社者からは「住民票記載事項の証明書」を提出させるようにしたほうが望ましいでしょう。
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