初年度の年次有給休暇については、分割付与することができます。その際、年次有給休暇の日数が、労働基準法の基準を下回ることのないよう注意が必要です。
年次有給休暇の分割付与とは、初年度の年次有給休暇を、最初の基準日(入社6ヵ月経過後)より以前に一部前倒して与え、6ヵ月後に残りの日数を与えることをいいます。例えば、4月1日の入社時に年次有給休暇を分割して4日付与し、6ヵ月継続勤務した時点、すなわち、10月1日に、残りの6日の年次有給休暇を与えるなどのように、初年度の年次有給休暇のうち何日かを前倒しして付与するわけです。ただし、分割付与した場合には、最初に付与した日から1年経過後(この例の場合は翌年の 4 月 1 日)に11日の年次有給休暇を付与しなければならないことに注意して下さい。
このように、新入職員に入社後すぐに年次有給休暇を分割付与しますと、労働福祉の向上にもなりますし、また、基準日を統一する場合に、入社日が異なる職員間の不均衡を解消するためにも有効な手段となります。ただし、分割して付与する場合は、以下の要件をすべて満たしていなければなりません。
(1) 分割付与となる年次有給休暇は入社初年度に発生する年次有給休暇に限られること。
(2) 前倒しして付与した際の残りの日数は、入社後 6 ヵ月を経過する日までにすべて付与しなければならないこと。
(3) 2回目の年次有給休暇は、分割付与した初回の付与日から1年以内に付与すること。
(4) 出勤率の算定の際には、短縮された期間はすべて出勤したものと取り扱うこと。
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