労働者が年次有給休暇を請求してきた場合、病院側は時季変更権を行使しない限り、これを拒否できません。したがって、退職間際であっても年次有給休暇の残日数の取得を一括請求してきた場合にはこれに応じなければなりません。また、その期間中に次年度分の新たな休暇が発生し、日数を追加して請求してきた場合には、その日数についても付与しなければなりません。
年次有給休暇は、労働基準法によって、「6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤」した場合には、所定の日数を与えなければならないものとされていますので、退職予定者であっても、退職するまでの間は、労働関係が継続している限り、労働者はそれを行使する権利がありますし、病院側にはそれを付与する義務があります。
これに対して、病院側には年次有給休暇の時季変更権がありますが、ご質問のケースの場合、退職予定者が、年次有給休暇の残り日数を取得することを見込んで退職日を決め、それを一括して請求した場合には、他に変更できる日がないため、時季変更権を行使する余地はありません。
この場合、請求どおりに年次有給休暇を与えなければなりません。次に、ご質問の後段についてですが、年次有給休暇は前年度の出勤率が8割以上であれば新たに発生しますので、残余の年次有給休暇を取得したことにより、新たに次年度分の休暇権が発生した場合に、その日数まで計算に入れて請求してきた場合にも、これを拒否することはできません。しかし、退職日までに年次有給休暇を取得できないときは、退職の時点で残りの日数は消滅します。 |