第四次医療法改正により、 新築の場合の病床面積基準が 6.4 uに定められたのはご承知のことと思われます。従来 4.3 uとされてきた病床面積基準は、戦後まもなくの折、入院治療の多くが感染症・急性期疾患を原因とする薬物投与・手術・安静を目的としていたため、これに必要最小限の環境基準であったといえます。
その後医療技術の革新と機械器具設備の進歩によって、入院治療の主流は慢性期疾患へと変化を遂げ、これに伴い療養環境としての病床が重視されるようになったため、病床基準の見直しの必要性が議論されるようになったのです。
一方、旧厚生省は公的・公立病院の増改築の際に指導を実施し、 8 u以上の面積をもつ病床の先駆的導入を図ってきましたが、補助金に支えられている自治体病院等が競合する可能性を持っていたとしても、これとのバランスを図ることは、経営資本が乏しい民間病院にとっては投資面での制約の問題もあり困難といえるでしょう。
増改築の際には、現在の病床面積、環境加算点数、建築費、コスト(金利含む)を比較衡量した上で、 6.4 uを念頭に置きつつ、自院の持つ病床区分・病棟編成に応じた広さを検討され、医療と提供するサービスの質の向上を目指すことが得策です。
また、単なる面積のみならず、回復期リハビリテーション病棟など、ベッドサイドでの治療・訓練が実施される場合を想定して、これらが容易になるような構造を検討することも必要です。
急性期・慢性期共に、病院病床の性格は変遷を遂げています。自院の現状を正確に把握し、施設基準を鑑み、増改築に投下可能な投資額とコスト等様々な要素を勘案して、適正な病床面積を決定すべきでしょう。
|