医療制度改革において、医療保険制度は「総合的かつ段階的な改革」を実施するとされています。厚生労働省の試案(「医療保険制度の体系のあり方」)によれば、行政が目標とするのは、人口構成・就業構造などの構造変化に柔軟に対応し、経済状況とも均衡の取れた安定的で持続可能な医療保険制度です。さらに、制度を通じた給付の平等・負担の公平を推進することにより医療保険制度の一元化を目指すというものです。
抜本的改革の概要としては、 @ 老人医療費の適正化、 A 保険者の再編・統合、 B 新しい高齢者医療制度の創設、そして C 医療保険給付の範囲の明確化、という内容が挙げられます。
つまり、国民医療費の抑制のために、老人保健医療費と介護保険療養費の適正化は、今後も医療政策の中心に位置することになるといえるでしょう。
医療機関への影響として予想されるのは、 @ 入院医療費の適正化のさらなる推進、 A 特に高齢者層を中心とする受診抑制、等となります。
200 床以上の大病院では、既に診療報酬改定によって外来診療の抑制傾向がありますが、 200 床未満の中小病院にとっては、外来患者の獲得を図ることによる急性期に特化した専門病院、あるいは患者の療養支援と生活支援を含めた慢性期(療養型)病院・施設へのシフトが、経営上は安定が期待できる選択となると思われます。人員確保の困難さによって規模が抑制されていた中小病院にとっては、医師の配置や看護基準が緩和されている療養型病床を運営することが健全経営への道であるといえます。
一方で、 2006 年度にも実施と予想される介護報酬の大規模な改定についても、十分な情報収集が必要だと思われます。
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