臨床研修指定病院とは、医師法第 16 条の2で規定される医師の卒後研修病院として厚生労働大臣の指定を受けた病院です。
臨床研修指定病院の認可を受けることにより、医療の質の向上や病院組織の活性化、地域からの信頼アップ等を理由として患者の確保が期待できるところですが、研修に必要な施設や図書、病歴管理等体制の整備が必要とされます。こうした要件を満たすための準備期間としては、大学病院等一部の病院を除いて、最低でも5年間程度の時間が必要だと考えられるでしょう。
認可申請準備のポイントとプロセスは、次のとおりです。
<認可申請準備事項のポイント>
1.医局内コンセンサス
認可による診療報酬上あるいは経営的なメリットはないことから、認可を取得する目的を医師全員に理解させ、協力を得ることが最も重要な前提となります。
また、当該病院の標榜する全診療科目において臨床研修を実施するため、指導医の確保も必要です。
2.準備委員会の設置
委員長(副院長から選任することが望ましい)のほか、アドバイザー(大学教授等)の設置も必要と考えます。
3.剖検体制の整備
年間剖検例 20 体以上かつ剖検率 30 %以上が認可要件とされていることから、病理医の確保と中央検査室の整備が必要であるほか、スキルの高い検査技師の確保も重要です。
4.経営体質の強化
一般の診療にとっては無駄な支出となるものの、研修目的として最新の医学文献の整備や高額で不採算な医療機器の設置が義務付けられているため、その他の材料費や一般管理費等で積極的なコスト削減策を実行できる経営体質に改善することが必要です。
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