病院理念・基本方針に基づいた中・長期計画(マスタープラン)策定の前提として、病院の、 @ 外部環境分析(行政施策、社会環境、医療・福祉界概況、競合等)、 A 内部環境分析(組織体質、機能、行動力、求心力、リーダーシップ、将来性等)、 B 内外環境変化の方向性把握、のそれぞれを踏まえて、理念・基本方針を達成しうる事業計画を立案するためのシステムづくりがあります。
従来、病院の経営者(理事長あるいは院長)が策定していたこれらは、医療を取り巻く環境の大幅な変化によって、個人が担うことが困難となってきたため、大別すると次のような二通りの方法を採用する傾向にあります。
(1)部門横断プロジェクト・チームの活用
医局(医師)、看護・技術・医事課等部門別に代表者を選定し、6ヶ月〜1年程度の期間を定めて各部門の提案を集約した上で将来戦略に反映させる方法。
部門横断した参加意識の醸成は一時的なモラル向上に効果的ですが、全部実施の困難性、最終的な意思決定権限の欠如がデメリットといえます。
(2)専門部門の設置
院内の企画部にマスタープラン起案の責任者を選任し、情報収集や具体的手法の研修を実施したうえで、起案から実施後のフォローにも関与させる方法。
留意すべきポイントは、次のとおりです。
@ 必要なスキルを備えた責任者の選定
収集した情報の分析やプレゼンテーション能力を備えた現場の事情・感覚に通じた者が適任と思われます。
A プレゼンテーションの受け入れ体制の構築
責任者には最終的な意思決定をなす機関(理事会等)との関係作りのため、経営会議等に出席させる。
B 専従の責任者
経営計画策定期間は、本来の業務と兼務させず、専従とします。
C 各部門管理者との協議権限付与
起案から実施に至るまで各部門との意見調整が可能となるよう、管理職と常時協議が可能な権限を付与しておくことが望ましい。
D 計画案の審議・決定権限は理事会等機関とする
経営者の専決とならないよう、経営計画に関する審議・決定は意思決定機関が行う旨を定める。
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