労働基準法は、使用者に賃金台帳の作成義務を課し、労働日数、労働時間数、時間外労働の時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数を賃金台帳に記入すべきものとしています。つまり、使用者には賃金計算の基礎となる労働時間等の把握義務が課せられているわけです。
ところで、労働日数や労働時間数を把握する方法としては、一般に出勤簿やタイムレコーダー等が利用されていますが、管理者が各人別の労働時間数等を記録したり、労働者が出勤簿に記録する方法などでも差しつかえありません。
要は、使用者が労働者各人について労働時間等を確実に把握し、時間外労働等の処理にあたって法令の定めに違反しないように管理することが求められているのです。したがって、出退勤時刻の管理にタイムカードを使用している場合に打刻しない者がいたとしても、使用者は何かの方法で労働時間把握義務を果たさなければなりません。つまり、タイムレコーダーの打刻を忘れた場合でも、労働者が実際に出勤し、労働している限り、使用者はその労働者の実際の労働時間について把握する義務を免れることはできないわけです。
したがって、タイムレコーダーの打刻忘れを理由に欠勤として扱うことは許されませんし、就業規則にそのような規定が設けられていたとしてもその規定は無効です。ただし、打刻忘れを理由に制裁処分をすることはできますので、労働基準法に定める範囲内であれば減給の制裁等の制裁処分に付すことは可能です。 |