1週間単位の非定型的変形労働時間制は、日ごとの業務に著しい繁閑が生じることが多く、かつ、その繁閑が定型的でない場合に、就業規則で特定された所定労働時間によらずに、週ごとに各日の労働時間を指定することができるという制度です。
この制度を導入するためには、次のような法定要件が定められています。
(1) 対象事業は、常時使用する従業員が 30 人未満の旅館、料理店、飲食店、小売業の4つの業種に限定されています。
(2) 労働時間の上限は、1日について 10 時間、1週については 40 時間以内になるように定めなければなりません。
(3) 就業規則の定めに基づいて労使協定を締結し、その協定を労働基準監督署長に届け出なければなりません。
なお 1 週間単位の非定型的変形労働時間制の労使協定には、有効期間の定めは必要ありません。
また協定事項として、 (1) 1週間の所定労働時間が 40 時間を超えない旨の定め、 (2) 1週間に 40 時間を超えて労働させた場合には割増賃金を支払う旨の定めが挙げられます。
この変形制を活用する場合には、次のような手続きが必要です。 (1) 書面での通知(前週の末までに、翌週の各日の労働時間について書面で各人に通知しなければなりません)。 (2) 通知した日の変更がある場合(緊急でやむを得ない事由がある場合には、使用者は、あらかじめ通知した労働時間を変更しようとする日の前日までに、書面によって労働者に通知すれば、あらかじめ通知した労働時間を変更することができます)。また、育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練または教育を受ける者その他特別の配慮を必要とする者については、育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければならないとされています。
最後に、1日について 10 時間、1週については 40 時間を超えて労働させた時間は時間外労働となります。割増賃金を支払わなければならないのは、 (1) 所定労働時間が 10 時間である日は 10 時間を超える部分、それ以外の日はその日の所定労働時間を超え、かつ 8 時間を超える時間、 (2)1 週については、 40 時間を超える時間、 (3) 深夜および休日労働が生じた場合には、その時間となります。
Point :
1週間単位の非定型的変形労働時間制は、業務に著しい繁閑が生じ、かつ、その繁閑が定型的でない場合に、通常の所定労働時間によらずに、週ごとに各日の労働時間を指定することができるという制度です。 |