1年単位の変形労働時間制を採用するためには、1年以内の一定の対象期間の、労働時間が週当たり40時間以内となるように、所定労働日と各日の所定労働時間をあらかじめ労使協定で特定しなければなりません。そして、労使協定で特定した休日については、「通常の業務の繁閑等を理由として」振替を行うことはできないこととされています。
しかし、予期しない事情が生じ、「やむを得ず休日の振替を行わなければならない場合」についてまで、休日の振替を認めない趣旨ではなく、次の3つの要件を満たす場合には、休日の振替えを行うことができることとされています。
すなわち、1年単位の変形労働時間制のもとでも、
「 (1) 就業規則において休日の振替を必要とする場合に休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって休日を振り替える前にあらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えるものであること。この場合、就業規則等において、できる限り、休日振替の具体的事由と振り替えるべき日を規定することことがのぞましいこと。
(2) 対象期間(特定期間を除く。)においては連続労働日数が6日以内となること。
(3) 特定期間においては1週間に1日の休日が確保できる範囲内であること」
という3つの要件を満たす場合には、休日の振替えを行うことができます。
したがって、ご質問のような場合には、就業規則に休日の振替えに関する規定があれば1年単位の変形労働時間制のもとでも休日の振替えを行うことができます。また、休日を振替えたことによって割増賃金の支払い義務も発生しないことになります。 |