いわゆる契約社員とは、期間の定めのある雇用形態の者をいいますが、労働基準法では契約の期間を定める場合には、原則として1年を超える期間を定めることはできないものとしています。これは、契約社員に不当な身分拘束をすることのないようにする趣旨から定められたものです。
ところで、ご質問のように、契約社員を1年ごとに契約更新をし、一定期間雇用したい場合には、トラブルを避けるため労働条件等を明記した契約書を交わしておきます。その際最も重要な点は、契約期間の定めと更新についてです。具体的には、雇用契約書で「契約期間は1年間とし、契約を更新する場合は3年間を限度とする」などのように、1年間の雇用契約を結び、一定期間に限り更新できるようにしておくとよいでしょう。
雇用契約書に雇用契約の自動更新条項を盛りこむ場合には、前述のように、契約を更新することと更新期間の限度を定めておくことが大切です。単に「1年ごとに契約を更新する」という契約更新の表現だけでは、契約を数年にわたって更新したのち、いざ契約更新を打ち止めにするときに、「期間の満了ごとに、当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたもの」として、更新の打切りが「実質的には解雇」にあたる可能性があるからです。
契約社員を採用するときには、業務の範囲、賃金や労働時間などの労働条件は個別に決めることになりますが、その際、契約社員は正社員ではないからということで、労働条件を明確にしていないと、後々トラブルになることがあります。そこで、契約社員の労働条件については、前述の契約期間だけでなく、賃金に関する事項や業務の範囲、労働時間、休日、年次有給休暇などについても具体的に記載しておくことが大切です。 |