年次有給休暇の時季変更権は派遣元企業にありますので、派遣先企業が時季変更権を行使することはできません。
派遣社員にも、当然労働基準法が適用されますから、6ヵ月継続勤務した派遣社員が年次有給休暇の請求をしたときは、時季変更権を行使しない限り、請求した時季に与えなければなりませんが、派遣社員に対して年次有給休暇を付与するのは派遣元企業です。したがって、派遣社員が年次有給休暇を取得しようとする際の請求先は、派遣元企業となり、時季変更権も派遣元企業にあります。
ところで、年次有給休暇の時季変更権は「事業の正常な運営を妨げる場合」に認められるものとされていますが、派遣社員の年次有給休暇に対する時季変更権について、行政解釈では、「派遣社員が年次有給休暇を取得することによって派遣先の事業の正常な運営を妨げる場合であっても、派遣元の事業の正常な運営を妨げる場合に当たらない場合もある」ことから、「代替労働者の派遣の可能性も含めて派遣元の事業の正常な運営を妨げるかどうかを判断する」としています。 |