退職金の支給ベースとなっている基本給と退職金支給額との切り離しが多くの企業で行われています。その方法の一つとして、職能資格制度と退職金支給基礎額を連携させたポイント式退職金があげられます。
(1)ポイント式退職金の仕組み
ポイント式退職金は、「職能ポイント」を採用し、例えば 3 等級なら 20 ポイント、 4 等級なら 30 ポイントというように職能資格等級ごとにポイントを設定します。それぞれに在級年数を乗じて累計を算出します。また、「勤続ポイント」として勤続年数に応じたポイントも設定します。 この 2 つのポイントの合算が退職金ポイントとなり、ポイント単価(一般的には 1 ポイント、 10,000 円)を乗じたものが退職金となります。
(2)現行退職金制度からの移行
現行退職金制度を改定する際の一番の課題は、既得権の確保です。制度移行時にすでに在職している社員については、現時点で退職したと仮定した退職金額を保障せざるを得ません。したがって、標準モデルの退職金カーブは一部の調整のみにとどめることが望ましいです。
(3)退職金の決定基準
ポイント式退職金制度の決定基準は、職能資格制度で明示された基準と勤続年数が主流です。そこで、能力重視の支給を目指すのならば、公正な人事考課制度が不可欠です。 退職金は、賃金の能力・成果主義化の流れを反映して、勤続年数よりも能力に比重を置いた支給が、今後もますます進むものと考えられます。 |