職能資格制度が整備されていないと能力を測る基準が不明瞭になり、年功的な運用に陥ってしまいます。まず、職能資格制度を整備し、それを軸に人事考課制度、職能給体系等を運用していきます。
(1) 人事考課の不公正
能力を測る基準の明確化が図られず、考課者に対して公平性を確保するための人事考課の研修会がなされていません。つまり、管理者は、人事考課に自信を持って望むことができず、評価結果も曖昧なものになってしまいます。その結果、人事考課結果を反映して、格付けや昇格をおこなうのではなく、勤続年数の経過とともに自動的に等級をあげることが習慣化することになります。 等級基準の明確化と公表、研修会を通じて、人事考課に関する理解を常日頃より深める必要があります。
(2) 職能資格制度の曖昧運用
多くの企業で、課業一覧表や職能要件書の作成や修正を怠ったため、人事考課の基準が不明瞭になりました。また、昇格運用を無視したため、年功的に昇格がなされました。そのため、社員の多くが高い等級にたまることになってしまいました。 この解決には、各種ツールの見直しを行い、曖昧さの排除や成果主義人事制度への移行が必要です。
(3) 能力開発制度の未整備
画一的な研修や無計画なOJTを実施してきたため、効果的な人材育成ができませんでした。また、複線型人事制度を導入しなかったため、職能資格制度を導入しても、結果的には役職優先の昇格がなされてしまいました。 |