取引先の取引拡大は、その債権の拡大を誘発し、さらには、債権の種別(現金、小切手、手形等)も増加することになります。
(1) 債権の種別増加と一般的注意事項
もともと期日に現金回収していたものを、小切手による回収としても、問題はありません。 しかし、先日付小切手や手形はその期日が到来するまで回収できませんから、期日までの期間が長期化するほど危険度が増すといえます。 逆に経営悪化が表面化している会社の場合には手形(裏書き手形)の方がむしろ安全であるケースがあります。
(2) 担保権の設定と与信枠
取引先へ債権増大について、いくつか注意点があります。 取引先の債権総額を時系列で把握しておく必要があります。具体的には、受注額、売掛金の入金状況、手形の決済の状況について月々のチェックが必要です。
また、債権回収を確実なものとするための根抵当権の設定、連帯保証人の差し入れも検討する必要があります。 連帯保証人については、本人の職業や地位も参考になりますが、最終的には資金力がものをいいます。自宅等の不動産登記簿謄本を調べておくべきです。
根抵当権の設定は、不動産の利用状況、価値、先順位担保債権とその債権額の把握に努めます。不動産の価値は、一般的には時価の7〜8割程度と考えた方がよいでしょう。また、極度額を定める際に、不動産の担保力が高いことから極度額を高額に定めることには問題があります。その限度枠まで与信の枠を要求される
ことがあるからです。現在の取引債権額や将来の取引成長度合い等を考慮して極度額は与信枠と一致させておくべきです。 |