証券取引法では発行総額が5億円未満の社債発行について、企業の財務内容を開示する必要はないとされています。
債券の購入者である通常の社債権者は、株主とは異なり、証券取引法によって、社債管理会社が設置されていてディスクロージャー(企業の財務内容の開示)制度や社債格付制度が整備されているため、投資家自身が自らの判断に基づいて、責任を持つことが可能となっています。( ※ 社債格付制度とは格付機関が社債の元利金支払いの確実性をランキングで表示する制度)一方で、社債管理会社は社債権者全員の法定代理人として、社債権の保全や、債券回収のための事務を行うわけです。
しかし、例外規定として社債一口の金額が1億円以上の場合と、発行口数が 50 口未満の時、及び社債引受人が 50 名未満の時には、管理会社の設置が強制されていません。 即ち、少人数私募債は届出を必要とせず、管理会社の設置も要しないということは、ディスクロージャーの必要もなしという3段論法が見事に成り立つわけです。
しかし、実際には少人数私募債を発行するにあたり、一番大事なことは会社と社債権者の信頼関係です。だから、法的には財務情報の公開義務がなくとも、少なくても中間決算時と決算時には、社債権者に事業の状況説明等をきちんと行い、財務数値を公開すべきと考えます。そうして、さらに信頼関係の強い絆を作っていくことが大切なことでしょう。 |