この社債の特徴は、何といってもその会社(社長)を信頼している人が社債購入者となるということです。それは、社長一族であったり、取引先であったり、社員であったり、社員の親類であるなど、様々な縁故関係者となるので、結果的には不特定多数の人に債券が譲渡される恐れはほとんどありません。これが少人数私募債を縁故私募債と呼ぶ所以となっています。
中小企業の場合、実権者はイコール社長です。社長が縁故者に対して自分たちの会社は自分たちの資金でやりぬこうという強いリーダーシップをとることが出来たら、会社は一丸となって、目標達成に向かい邁進するようになるでしょう。必然的に、会社の数字は一部の人達のみが関知しているのではなく、関係者全員に対してディスクロージャーが求められてきます。
商法上では、社債権者には株主と違って、公開の必要はないとされていますが、やはり、その会社のあるべき姿を明確に文章化し、経営計画の立案などにより、将来のシナリオをしっかり作って、それを達成すべく努力を重ねつつあることを、社債購入者には周知徹底すべきです。そうした意味からも、財務数値公開の必然性はあると考えます。
また、 50 名未満の縁故者に勧誘し、社債権者になってもらうことは、厳密にいえば「公募」ではなくて「勧誘」になります。 それも、会社自体で直接募集しなさいということは、証券会社、その他銀行等の金融機関を通さないという意味でもあるわけです。 |