少人数私募債を発行する上で、最も重要な決定事項は募集総額をいくらにするかということです。前述したように、改正前は発行総額の上限が決められていましたが、現在では制限がありません。
しかし、まず念頭に置くべきことは、社債権者に損失を与えないということです。 設備投資のためであれば、その目的に見合う金額であり、売上が急激に伸びて運転資金が追いつかない場合であれば、予想されるB/S(貸借対照表)、P/L(損益計算書)、キャッシュフロー計算書等を作成してみた上で、堅実な財務内容を前提として調達金額を決定しなければなりません。
このあたりを少し詳しく説明してみましょう。まず、先ほどの資金不足を少人数私募債で補うのか、つまり貸し渋り対策の安定資金として社債募集するのか、また銀行等の取り立てが性急で、銀行等に一部を返済するための当座資金とする私募債なのか、そこをはっきりさせる必要があります。
そして次に、売上目標、目標限界利益、固定費の計画を立て、いついくら支出して、いくらいつ入ってくるかという「収支分岐点売上高」を計算してみましょう。その上で、予想キャッシュフローを見立てて、募集金額を決めるわけです。( ※ 収益分岐点ではなく、収支分岐点であることに注意!) |