収益から費用を差し引きし、残ったものを「利益」と言います。現在の企業会計の元では、損益計算書の中で利益が算定されます。利益だけで企業の経営成績を判断しようとしたとき、下記の 2 点で検討が必要になります。
利益と現金のズレについて具体例を挙げて説明します。
たとえば材料を仕入れて加工し、それを販売して代金を回収します。実現主義、発生主義のもとでは、材料を仕入れた時点で仕入れを計上し、販売した時点で収益を計上します。この計上時期に現金決済していれば利益と現金とは完全一致します。しかし、一般的には信用取引が広く行われており(いわゆる掛け)、仕入計上時期や販売計上時期に現金(キャッシュ)は動きません。掛けの期間が長ければ長いほど帳簿上の利益とキャッシュとの間に乖離を生じることになります。
このように、損益計算書に示された利益だけでは実際に使えるキャッシュを測定することはできないことになります。
企業が商品、原材料、サービス等を購入するその対価は、あくまでもキャッシュであり、現金ではありません。たとえ多額の利益を計上していたとしても、キャッシュが無ければ買掛金や支払手形の決済もちろんのこと、借入金の返済もできないことになります。 |