いうまでもなく、いま飲食店は非常に厳しい経営環境にさらされています。激しい競争と不景気のなかで、いかにお客の支持を獲得していくかが問われています。こういう時こそ外に目を向けなければいけません。外とは他店の動向です。不景気にもかかわらず、繁盛しているお店はたくさんあるのです。
ここで考えなければならないのは、お客は別に飲食店を利用しなくなっているわけではない、ということです。たしかに景気の冷え込みのため、お客の飲食店の利用頻度は低くなっています。また、当然のことながら、お客の予算、つまり許容される客単価も下がっています。しかし、その条件の範囲内で、お客は飲食店を利用しているのです。
ただし、予算が低くなったとはいえ、いまのお客は「安かろう悪かろう」のお店は相手にしません。予算の範囲内で、できるだけ楽しめる、付加価値の高いお店を選んでいます。つまり、いま繁盛しているお店は、本当の意味で「お客に選ばれたお店」なのです。
では、どうすれば「選ばれるお店」になれるのか。その答えは、自店の中でいくら考えてもみつからないはずです。なぜなら、いまお客が飲食店に対して何を求めているかということは、お客の行動を見なければ分からないからです。お客は、自分の求めるものを提供してくれるお店を選ぶ。それなら、お客がどんなお店のどこに高い価値を感じているのか。そこを見極める必要があります。
もちろん、繁盛店を見学してそのマネをすればいいということではありません。繁盛のポイントをつかみ、それをどう自店に生かしていくかが大事なのであり、そこまでできなければ、学ぶということにはならないのです。
他店見学を意味のあるものにするには、できるだけ多くの繁盛事例を体験し、客観性を持ってつぶさに観察することです。一店や二店のケーススタディーでは、コピーはできても本当のコツはつかめません。
|