繁盛を持続しているお店には必ず、看板商品があります。看板商品とは、大半のお客が必ずオーダーする商品のことです。言い替えれば、お客の目的意識を刺激し、お店にとっての最強のチャームポイントになる商品のことをいいます。
ラーメン店のような単品商売の場合は、主力商品がそのまま看板商品でなければならないわけですが、一般の飲食店の場合は、チョイス幅のあるメニューのなかで、これぞ当店自慢といえる商品をつくる必要があります。商品の差別化とはだれもがいうことですが、実は、ほとんどの飲食店ではこの努力がなされていないのです。
商品の差別化とは、たんに他店と違うということではありません。お客を引きつけてやまない魅力を備えたオリジナリティーを持つことです。では、オリジナル商品はどうやって開発すればいいのか。その手法を難易度順に並べると、次のようになります。
@盛りつけの仕方を工夫する、A調味料やスパイス類の添加、配合を工夫する、B食材の組み合わせを変えてみる、C調理法、または調理法の組み合わせを変えてみる、D独自の食材を使用する。
一般に、@からDに向かうほど、お客に対する効果が強くなりますが、同時に、技術的難易度も高くなります。
また、人間の五感にもオリジナル商品開発のヒントがあります。五感とは、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の5つの感覚のことで、視覚と味覚についてはいうまでもないでしょう。
意外と見逃されているのが他の三つの感覚です。たとえば、鉄板でステーキをジュージュー焼く音はシズル感といいますが、これは視覚と同時に聴覚へのアピールでもあります。生春巻きを手で食べさせるのは触覚へのアピールであり、スパイスやハーブは嗅覚も刺激します。開発にあたってはむずかしく考えず、遊び心を生かすことが大切です。 |