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第2回 業態発想はなぜ必要なのか

 

 一般に、個人経営の飲食店(個店)の場合、業態発想が希薄なケースが目につきます。新規オープンの時も同じで、○○屋をやりたい、××屋をやれば成功の確率が高いのかなど、業種意識ばかりが先に立ってしまうのです。

 

 もちろん業種も大切です。経営者としても、儲かるならどんな業種でも構わない、などという事はあり得ないはずです。

 

 しかし、飲食店を確実に成功させるためには、業種よりも大切なことがあります。それが「業態」なのです。業態とは、お客の利用動機への対応の仕方のことです。

 

 業態の基本的な構成要素は、主力商品(業種)、お客の利用動機、主な客層、営業時間、出店立地、売り方のスタイル・演出、価格設定の 7 つですが、これらのなかで最も大切な要素が価格です。

 

 なぜなら、お客がお店を選ぶときの最大のポイントは価格(予算)だからです。そして、その予算を決めるのは、その時その時の利用動機です。予算を無視した消費行動をアテにするのはバクチと同じことですから、経営の確実性を高めるにはまず、この業態設定を綿密に行う必要があるわけです。

 

 たとえば、和食店という業種は、客単価千円以下から 1 万円以上まで、あらゆる利用動機をカバーしています。したがって、ターゲットとする利用動機と価格の設定なしには、メニュー構成も商品開発も出来なくなってしまうはずなのです。

 

 業態発想が希薄なままメニューを決めているお店は少なくありません(現実に大多数の飲食店がそうです)が、そのメニューおよびお店作りからは、どんな利用をして欲しいかというアピールが感じられません。その結果、お客にとって魅力のないお店になってしまうのです。

 

 飲食店経営はビジネスです。であれば、お客の支持はたまたまではなく、必然の結果でなければなりません。

 
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