借入で絶対必要な事業計画書の作り方を学習しよう 《資金調達と返済計画編》
●資金調達とは、総投資額をどこから用意するのかという計画を立てることをいいます。資金調達を計画するにあたって下記の手順で実施していきます。
1 )総投資額を算出する(税込み金額で)。
工事費は店舗工事概算見積書と同額の金額であることを確認すること
2 )自己資金を決定する。自分が現金で用意できる金額
3 )借入金額を決定する
算出式: 総投資額−自己資金=借入額
4 )借入先を選定する。
前回ご紹介した国民生活金融公庫や銀行、農協、信用金庫、国などの金融機関を選び、借入金の限度額、金利、返済方法、自己資金額などの借入条件、 借入先、申請手順について確認します。
●返済計画とは、借り入れた金額を何年で償却するのか。また、毎年の返済額や金利、そして、返済年数(何年で借入金を完済できるか)の計画を立てます。
計画を立案する手順は下記の通りです。
1 )金融機関が決定したら、返済年数、金利などの返済方法を確認します。
2 )返済方法は
イ)元利均等返済方式が一般的です。また、初年度から返済する方法と一年据え置きの方法があります。
初年度から返済するメリットは返済が早期にできることです。
一年据え置きとは、借入金の総額の金利だけを一年払い、二年度から元金(借りた金額)と金利を支払って行く方法です。この方法のメリットは、初年度に運営資金を蓄えることができます。二年後以降のキャッシュフロー(税引後利益と減価償却費をプラスした金額。企業としての収益になる)が楽になり、利益を安定的に出しやすくなります。
ロ)返済年数の決定
返済年数は返済年数の限度まで自由に借り手が選ぶことができます。
短期返済を選ぶ業態は、ダイニング、洋食レストランなどの洋食系の業態で、繁盛期が短いお店に適しています。早期に返済してその時代に合わせてリニューアルや新規店舗開業を行なうことができます。
逆に長期の場合は、和食や高級専門店などはやりすたりの少ない業態が適しています。
ハ)返済計画の計算方法
・毎年の元金返済額=借入金総額÷返済年数
元金とは借り入れた金額のこと
・借入残額=初年度は借入金総額を記載し、二年度から借入金総額−毎年の元金返済額
毎年返済するごとに返済額が減って行くことになります。
・毎年の支払利息=初年度の借入元本×利息
借入金残額に対する利息
・返済額計=毎年の元金返済+毎年の支払い金利
●以上の説明では分かりにくい方は、下記の例題をご参考にしてください。
1)資金調達
・総投資額: 3000 万円
内訳(工事費: 1500 万円/物件取得費: 500 万円/開業費: 500 万円)
・自己資金: 1,000 万円
・借入総額: 2,000 万円
・借入先 :国民生活金融公庫
・借入条件:金利=年利 2 % 返済年数= 5 年 返済方式=元利均等返済
2 )返済計画
・毎年の元金返済額= 2,000 万円÷ 5 年= 400 万円
・借入残額=
初年度:借入総額 2,000 万円 - 毎年の元金返済額 400 万円= 1,600 万円
2年度:初年度借入残額 1,600 万円 - 毎年の元金返済額 400 万円= 1,200 万円
3年度:2年借入残額 1,200 万円 - 毎年の元金返済額 400 万円= 800 万円
4年度:3年借入残額 800 万円 - 毎年の元金返済額 400 万円= 400 万円
5年度:4年借入残額 400 万円 - 毎年の元金返済額 400 万円= 0 万円
・毎年の支払い利息 =
初年度:借入総額 2,000 万円×金利2%= 40 万円
2年度:初年度借入残額 1,600 万円×金利2%= 32 万円
3年度:2年借入残額 1,200 万円×金利2%= 24 万円万円
4年度:3年借入残額 800 万円×金利2%= 16 万円
5年度:4年借入残額 400 万円×金利2%= 8 万円
・返済額計 =
初年度:毎年の返済額 400 万円+毎年の支払利息 40 万円= 440 万円
2年度:毎年の返済額 400 万円+毎年の支払利息 32 万円= 432 万円
3年度:毎年の返済額 400 万円+毎年の支払利息 24 万円= 424 万円
4年度:毎年の返済額 400 万円+毎年の支払利息 16 万円= 416 万円
5年度:毎年の返済額 400 万円+毎年の支払利息 8 万円= 408 万円
以上が資金計画と返済計画です。次回は減価償却費の算出方法になります、ちょっと頭の痛い計算が続きますが、この事業計画がわかれば、どんぶり勘定にならず、事業として利益を獲得できます。がんばりましょう。
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