競合店調査を実施し、敵を知りどのようなお店を作ったらいいかを検討する。
競合店調査は物件が見つかり、出店を考えた際には事前に必ず行うことが大切です。また出店だけでなく、日頃から調査をすることで、新規オープンのお店の情報が収集でき、自店の対策や戦術が組み立てられ、オープン景気でその新しいお店に一時的にお客様が流れるが、次に自分のお店にお客様が帰って来たときにさらに自分のお店に引きつける力となるのだということを肝に銘じましょう。勝つためには敵を知ることです。
出店予定の立地周辺の既存店舗の視察をします。できるだけ多くの競合店を見る事が大切ですが、その中でも繁盛店を見ることが大切です。手順は下記の通りです。
1. 下調べ
お店を調査する費用をできるだけ抑えるために、週末を中心に調査します。
待ち合わせのお客を装って、店の人に「知人が来ているかもしれないから、見せて欲しい」と伝え、お店の内部を観察し、店内のお客様の入り状況を確認します。お客様が入っているお店は、宴会のパンフレットなどのお店の印刷物をもらって、チェックし実際に調査する店を選定するときの材料にします。お店を出るときは必ず、「いないみたいです。ありがとう」と言って出るようにしましょう。改めてお店にお客として来る事を想定して、良い印象を残しておく必要があります。
2. 競合店リストを作る
1. で蓄えた情報を地図に印をつけますが、この時、自分が出店するお店に近い業態は色を変えて優先的に視察ができるようにしておくとよいでしょう。
3. さあ、いざ競合店調査へ
視察メンバーはできるだけ、男性だけでなく、男女で行く事をお勧めします。男性だけの意見だけでなく、女性の意見も非常に重要だからです。
基本的な調査項目は、
(ア) 時間帯別客層分析
(イ) メニュー構成と価格帯及び客単価
(ウ) 接客サービス
(エ) 繁盛しているポイント
です。視察メンバーがそのお店のお客様として来店し調査を実行します。
(ア)時間帯別客層とは、家族、ビジネス、グループ、カップル、シングルの客層とその年令層を時間帯毎に調査することをいいます。この調査で分析できることは、時間帯別の客層、時間帯別の客数、中心となる客層で、この分析結果と自店の時間帯別客層を想定します。
同じ客層であれば、なぜこのお店に来ているのか。どういうところがお客様を惹きつけているのかをチェックし、さらに客数については自店の事業計画を立てる際に役立てます。
(イ)メニュー構成と価格帯及び客単価は、メニューブックを見て商品の名称、商品数、内容、価格を調べ、実際の主力商品である料理や飲物を注文します。主力商品の見極め方は、メニューブック内に表記されている「おすすめ品」や店名の付いている「◯◯オリジナル」、「◯◯風」などを見ても分りますし、注文を行う前に手洗いに行きがてら各テーブルに出ている商品を見ることや、隣の席のお客様や従業員に直接「ここのおいしい料理は」と聞くなどの方法が有効的です。注文をする際は、参加者が同一の商品を注文せず、各個人が別々の商品を注文して品数を増やしましょう。料理や飲み物は、商品の味、素材の品質、盛り付け、ボリュームなどを実物を見ながら、食べながら、商品力と価格とのバランスを見ます。客単価は、会計時の合計金額をベースに算出すると適正な客単価が想定可能です(ただし、調査という事で様々な料理をいっぱい試食した場合は別)。この分析からは、商品力と適正価格(飲食して納得のいく価格のこと)と出店するお店の商品開発や価格設定に役立てます。
(ウ)接客サービスは、言葉遣い、接客姿勢、顔の表情、商品の提供時間、身だしなみ、気配りなど、従業員ができているか否かについて評価します。お客様の立場で接客サービスが良いか悪いか、良い部分と悪い部分を見極め、良いものは自店に取り入れ、悪い部分は今後、お店を開店した時に注意する点として資料を残しておきます。
(エ)繁盛しているポイントは、(ア)から(ウ)までの分析結果と周りのお客様の反応等の「生情報」、視察メンバーが感じたことを検討材料に長所や短所について分析し、長所を自店に取り入れます。また、競合店と自店とを比較する場合、内装デザインは特に重要な検討材料にはなりません。ただし、店舗面積は、出店するお店の規模により宴会ができるかできないかなど、若干異なりますから注意しましょう。できるだけ出店するお店に近い規模のお店を見ることも大切です。
かなり多い項目ですが、石橋をたたいて渡る気持ちでがんばって調査してみましょう。
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