立地の可能性がわからないときは、情報と調査で裏付けをとれ その5
次に役所で調べる町の将来調査を行ないます。これも1年に1度は調べておくと良いでしょう。
1 . 前回の都市計画課に続き、建築指導課で町の状況を把握しよう。 建築指導課は、建物を立てるために必ず建築許認可申請を行なう必要があるため、建物を建築する際は、この許認可申請を行なうことになります。ですから、建築指導課で出店する立地の地図や住所を建築指導課の担当に話し、近い将来自分が出店したい物件周辺にどのような建物や大型商業施設などが建築されるかを聞き、将来の計画を立てることに役立てます。出店したら、せめて年に1度は建築指導課に行き情報を得ることが大切です。
2 . 所轄の保健所で教えてもらえる情報とは、
出店する物件を管轄する保健所でわかる情報があります。保健所は飲食店を営業するために必要な営業許可書を発行する機関であり、また、食品を販売するお店の管理監督を行なう機関でもあります。
1)自分がやりたいお店を説明して、保健所検査の指摘事項を確認する。保健所はお店の工事が終了した際、保健所の調査員がお店の食品衛生に関する店舗チェックを行ない、このチェックが通ると、はじめて営業許可書が発行され、お店を営業できることになります。このため、事前に自分がこれからするお店の業種業態を保健所の調査員に説明し、食品衛生法に基づく店舗の基準(指摘事項)を確認しておく方が良いでしょう。注意すべき点は、所轄の保健所によって若干店舗基準が異なっている場合があるので、物件によって所轄の保健所を常に確認し、この調査を実施する必要があります。
例えば、
・東京都で移動販売をやりたいなと思っていて、使用する車が軽自動車の場合は、単一業態(たこ焼きであれば、たこ焼き機が1台のみとか、鉄板料理であればグリルが1台)でなければならないため、様々な料理を販売することができないケース。また、クレープやソフトクリームなどのデザート類については販売して良いが、千葉県では販売できないなど。
・営業範囲は所轄の保健所の管轄内と限定されているケース。例えば、東京で営業許可書を取った場合、千葉県では販売できないなど。
2)保健所でわかる飲食店出店情報をゲットせよ。
さきほども書きましたが、飲食店の営業許可書を発行する保健所には、店舗工事を行なう際に、厨房図面を提出し、指摘事項を調査官に確認してもらって、図面を変更して提出する義務があります。従って、開業する約 2 ヶ月半〜 3 ヶ月前に新規に開業するお店の情報を調査官から聞き出せる可能性があります。担当調査官によっては教えてもらえない場合もありますが、聞いてみる価値があるので必ず聞いてみましょう。
3 . 今までの調査をもっと簡単にするためには、コンピュータソフトの活用を。今までお話してきた調査は非常に大変な作業ですが、この作業をもっと効率的にしたいとか、今飲食店を複数店舗運営していて、今後も出店する計画があるといった飲食企業の方におすすめなのは、すでに国勢調査や交通量調査、競合店調査などのマーケティングを行ない、売上を想定してくれる画期的なコンピュータソフトが販売されています。しかしながら、システムによって 200 万円以上の買い物になるので、予算を考えながら購入するかどうかを検討する必要があるでしょう。
「立地の可能性がわからないときは、情報と調査で裏付けをとれ」は、今回で最終回となります。次回は、「逃がすな優良物件!即、不動産会社との金額交渉&手付けを打て」です。
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